初恋のキミは最愛ヒーロー
他の授業にまで支障が出ないようにするためにも、早く気持ちを伝えなくては…!
「莉彩、お化け屋敷に手を挙げてたから意外に怖いもの好きなんだと思った」
「えぇっ、私が!?怖いの苦手だよ!お化けとか想像するだけで寒気がするし!」
無意識だったとは言え、手を挙げたのが、よりにもよってお化け屋敷だなんて。
希望者多数じゃなくて良かった。
縁日になって本当に良かったよ。
しみじみと感じていると、壱夜くんが息を漏らすようにフッと笑った。
「怯えた顔してアタフタし始めたかと思えば、すぐに気が抜けたみいに頬を緩ませて安堵してるし。分かりやすいヤツ」
「だって、お化け屋敷は本当に無理…」
「何はともあれ、苦手なものを回避できて良かったな」
「うん」
壱夜くんが笑ってる…!
苦笑いに近い気はするけど、笑ってもらえるだけでもかなり嬉しい。
笑顔の破壊力は絶大だ。
壱夜くんの表情にドキドキしながら足取り軽く商店街までやってくると、不意にコーヒーの香りが鼻をくすぐった。