初恋のキミは最愛ヒーロー

「あれ?この近くに喫茶店なんて無かったと思うんだけど…」


「もしかしてこの匂い、あそこからじゃねぇの?なんか人だかり出来てるし」


壱夜くんが指差した先は商店街の真ん中辺りにあるイベントスペース。


ちょっとした広場になっていて、お祭りやミニイベントを開催する時に使うらしい。


本当だ、賑わってる。


イベントやってるのかな?


「壱夜くん、私たちも見て行こうよ!」


「寄り道するの面倒くさい」


「通り道沿いなんだから寄り道には入らないって!」


「都合のいい論理展開すんなよ」


「まあまあ。少し見るだけだから」


全く乗り気じゃない壱夜くんに“ちょっとだけ”“ほんの少しだけ”と繰り返し声を掛け続けるうちにイベントスペースに到着。


人だかりの正体は行列。


その先にあったのはクリーム色に淡いグリーンのラインがはいった移動カフェの車だった。


あの車、前にテレビか雑誌で見たことある!


全国的に営業してる有名な移動カフェだ!


テンションが上がる私とは対照的に、壱夜くんは行列に並ぶ人たちに冷ややかな視線を向けていた。


< 331 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop