初恋のキミは最愛ヒーロー
「えっ、壱夜くん!?」
「なんだよ、その面食らったような顔。並ぼうって言い出したのは莉彩だろ」
「それはそうだけど、一緒に並ぶ雰囲気ゼロだったから」
怒って帰っちゃうかと思ってたし。
「あんなにキラキラした目で長々と訴えられたら断りづらい。仮に拒否して帰ったりしたら、それはそれで後々うるさそうだから」
そ、そういうことか。
「でも、どうしても無理なら私一人で並ぶから壱夜くんは先に…」
「俺が先に帰った後、トラブルに巻き込まれたらどうすんだよ。あのコンビニの時みたいに」
私たちが出会った日のことか…。
あんな風に不良たちに絡まれることは滅多にないと思うけど…
危険な目に遭わないようにって気に掛けてくれてるのは嬉しいな…。
思わずニヤケてしまいそうになる口元を手で隠した。