初恋のキミは最愛ヒーロー
「落ち着くね」
「いつも静かだからな、ここは」
座れる場所ということで頭の中に浮かんだのは、私が住むマンション近くの小さな公園のベンチ。
相変わらず誰もいなくて静かだ。
「あまり公園で遊ばないのかな…?」
「数年前まで不良たちの溜まり場だったから、近所の親たちはここで遊ばせないようにしてるんだよ。大通りに出ると広くて綺麗な公園があるから、そっちで遊んでるんじゃね?」
「そうなんだ…」
だから土日も閑散としてるのか。
「壱夜くん、この周辺の事情に詳しいんだね」
「ずっと住んでいれば、それなりに詳しくなるだろ」
淡々と話した壱夜くんはコーヒーを一口飲む。
すると、驚いた顔でコーヒーの入っている黒い紙コップを見つめた。
「こんなに美味いコーヒー飲むの初めてだ」
「本当!?スコーンも大人気のメニューらしいから絶対に美味しいと思うよ!」
「確かに、スコーンもうまい。このチョコ甘さ控えめになってて食べやすい」
結構、高評価!
このメニューを選んで良かったと心の中でガッツポーズをしながら、私もアップルパイを頬張った。