初恋のキミは最愛ヒーロー
「おいしかったね~」
「そうだな」
しばらくして、私たちは綺麗に完食。
壱夜くんも満足してくれたのか、表情が穏やかだ。
「…………」
「…………」
今、告白するのに絶好のタイミングじゃない?
周囲には誰もいないし、壱夜くんのオーラも柔らかい雰囲気だし。
空になった紙コップを持つ手に力が入る。
瞬く間に心臓の音が大きくなり始めた。
緊張する…。
でも、頑張って踏み出さないと友達以上にはなれない。
「……い、壱夜くん」
「ん?」
視線が重なる。
それだけで、私の鼓動は一層速くなっていく。
「あ、あのっ……」
意を決して伝えようとした時、壱夜くんのスマホのバイブが鳴りだした。
「電話、父さんからだ」
「きっ、緊急案件かも…」
「多分、近況報告。今月末まで出張で不在にしてるから」
やれやれ…という顔で電話に出て話し始める壱夜くん。
私は震える唇で大きく息を吐いた。