初恋のキミは最愛ヒーロー
もうちょっとだったのに…。
でも電話かかってきちゃったんだから仕方ないよね…。
仕切り直さなくては…。
胸元に手をあてて、何回か深呼吸を繰り返していると、壱夜くんが不思議そうに私の顔を覗き込んできた。
「息が苦しいのか?」
「ち、違うよ!そんなことより、電話もう終わったの!?」
「近況報告なんて頻繁にやってるから、会話も至ってシンプルなんだよ。そんで、さっきの続きは?」
「えっ?」
「何か話そうとしてただろ?」
こんなに近距離で見つめられると、さっき以上に緊張してしまう。
「あのね、私…」
「………」
壱夜くんの耳にも届いてしまってるんじゃないかと思うぐらい大きい心音。
唇の震えが酷くて、声が上手く出せない。
だけど、頑張らなきゃ…。
少し強く唇を噛みしめた時、壱夜くんの手が私の頭にのせられた。