初恋のキミは最愛ヒーロー

「言いにくいことなら無理に話さなくていい。また言えそうな時に話せよ。いつでも俺はちゃんと聞くから」


きっと、何か悩み事を相談されると思ったんだろうな。


優しい言葉に胸が熱くなる。


「そろそろ帰るか」


「…………」


でも、“今は無理だから”って後回しにばかりしてたら言える時なんて永遠にこない気がする。


前に進むって決意したんだから、もう後退りはしたくない。


ベンチの近くにあったゴミ箱に紙コップとスコーンの入っていた紙袋を捨てて歩き出す壱夜くん。


私は直ぐに立ち上がって、彼の腕を掴んだ。


「莉彩?」


「す、すき……」


こんな呟くような小さな声じゃ壱夜くんに聞こえない。


もっと大きな声で…!


必死に心を奮い立たせながら息を吸い込んだ。


「壱夜くんのことが好きです。わ、私と付き合って下さい」


声は震えて、ところどころ上擦って。


思い描いていたような告白とは違ってしまったけれど。


ようやく……


本人に気持ちを伝えることが出来た。


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