初恋のキミは最愛ヒーロー
「……っ…」
自分の部屋にたどり着くと同時に涙が溢れて頬をつたう。
ベッドにうつぶせになって枕に顔を埋めた。
壱夜くんにフラれちゃった。
その可能性も覚悟した上で告白したとは言え、実際に“応えられない”っていう言葉を本人から告げられると辛い。
私、心のどこかで“きっと大丈夫”って思っていたんだよね…。
壱夜くんの言動も雰囲気も、出会った頃と比べると明らかに変わった。
私のことを名前で呼んでくれるようになって、ますます距離が近づいたように感じてた。
だから、友達以上になれるんじゃないかって前向きに思ってた。
完全に自惚れてたんだ。
でも現実は、そんな風に上手くいかなかった。
初恋の女の子よりも意識してもらえるような存在にはなれなかった。
シーツを強く握りしめる。
とめどなく流れて枕を濡らし続ける涙。
夕焼けの光が差し込む静かな部屋の中、私は肩を震わせながら嗚咽をもらしていた。