初恋のキミは最愛ヒーロー
これは、叶うことのない恋
「おはよ、壱夜くん」
「…おはよ」
「今日は暑くなりそうだね」
「そうだな」
壱夜くんにフラれてから淡々と毎日が過ぎていき、気がつけば5月下旬に突入していた。
あれから一ヶ月以上が経過した今、ようやく自然な感じで挨拶を交わせるようになってきた気がする。
少しずつ、壱夜くんの顔を見ながら話せるようにもなってきた。
でも、自然な笑顔になれなくて、いつも愛想笑いみたいな感じになってしまう。
前みたいに友達として接していけたら…と思ったんだけど、なかなか上手くいかないな…。
もっと時間が経てば、変われるかな…?
そんなことを考えながら、黒板の上に掲げられている時計に目を向けた。
朝のSHRまで、少し時間があるな…。
この一ヶ月、席に居るのが気まずくて、朝やお昼休みは、図書館で本を読んだり予習したりすることが殆どだった。
今日は図書館に行くほど時間に余裕もないし、ここで本を読もう。
以前なら、こういう時間は私から積極的に壱夜くんに話しかけてたのにな…。
胸にズキンと痛みが走るのを感じながら、机の上に読みかけの本を出した時だった。