初恋のキミは最愛ヒーロー

「ありがとう、壱夜くん」


「鬱陶しい」


「こんなに優しい男の子と出会ったの、初めて…」


「ったく、ムダ口叩いてる暇あったらマンションまでの道を頭に覚えさせろ。案内すんのは、今日限りなんだから」


「う、うん…」


またも、ご立腹。


低い声が纏う威圧感は半端ない。


でも、そんな冷たい言葉とは裏腹に、歩くペースはちゃんと私に合わせてくれている。


壱夜くんからすれば、とても歩きにくいスピードのはずなのに。


さり気なく気遣ってくれる温かい優しさに、心臓が痛くなるぐらいにドキドキして…


胸がキュウッと甘く音を奏でて…


そして、“好き”を改めて実感する。


今は、壱夜くんの背中を追いかけている私だけど…


いつか…


壱夜くんの隣を並んで歩ける女の子になりたいな…。


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