初恋のキミは最愛ヒーロー
「そんなに慌てて答えを出さなくてもいいのに」
「うん。だけど、時間を置いても私の気持ちは変わらないと思うから。先延ばしにするのは良くないかな…って」
「アイツ一筋なんだね」
「本当は恋愛感情には鍵をかけて、気持ちを切り替えて、普通の友達にならなくちゃって思うんだけど、なかなか思うようにはいかなくて、ズルズルと引きずってるんだ。未練がましい女だよね、私」
フラれた後も壱夜くんのことが、ずっと好きなまま。
気持ちを抑え込みたいのに、抑えられない。
唇を噛みしめて俯くと、私の手を握っていた玲音くんの大きな手がゆっくりと離れる。
そして私の頭をポンポンと撫でた。
「別に引きずったっていいんじゃない?」
「えっ?」
「それだけ黒河内のことが好きってことなんだから。気持ちの切り替えなんて、無理やり出来るもんでもないでしょ」
小さく頷くと、玲音くんは切なげな表情を浮かべた。
「っていうかさ、諦めようとしてんの?黒河内と付き合うこと」
「壱夜くんには好きな人がいるから」
どんなに頑張っても、両想いになることは叶わない。