初恋のキミは最愛ヒーロー
「でも、その女の子と付き合い始めたわけじゃないだろ?」
「うん。どこに住んでるのかも分からないみたいだし……」
「だったら、アイツの彼女になれる可能性はまだ残ってるんじゃない?」
「えっ!?」
思わぬ言葉に、私は驚きながら首を左右に振った。
「む、無理だよ無理!だって、キッパリとフラれたんだから!壱夜くんにとって、私はただの友達でしかなくて…」
「本当に“ただの友達”だと思ってるんなら、俺らに嫉妬したりしないでしょ」
「嫉妬…?」
まさか、そんなことあるわけが……。
「いつも俺や神楽が碧瀬と話してるところを不機嫌そうな顔して見てるんだよ。今朝、俺が辞書を借りに行った時だって、碧瀬と話をしていた俺を睨みつけてたんだから」
「そ、そうなの…!?でも、玲音くんと会話を終えて席に戻った時、壱夜くんは数学のテキストを集中して読んでたよ?」
私たちの会話を聞いていたようには見えなかったけど……。
無表情だった壱夜くんの横顔を思い出していると、玲音くんは吹き出すように笑った。