初恋のキミは最愛ヒーロー
「黒河内のヤツ、俺らの話が終わりそうだと察した瞬間に、机の中から素早く本を取り出したんだよ」
「う、うそっ…」
「信じがたいかもしれないけど、ハッキリとこの目で見たから間違いないよ」
私、壱夜くんに背を向ける形で話してたからなぁ…。
そんなことが繰り広げられていたなんて思ってもみなかった。
「そんなわけだからさ、もう少しだけ粘って攻めてみたら?諦めるには、まだ早いと思うよ?」
玲音くんの言うように、本当に妬いてくれてるんだとしたら、両想いになれる可能性が、僅かに残されてるのかもしれない。
可能性がゼロじゃないなら、もう一度…頑張りたい。
壱夜くんのことが好きだから。
「私、頑張ってみる。ありがとう、玲音くん」
「どういたしまして。やっぱり、碧瀬には明るい表情の方が似合ってるな」
玲音くんは嬉しそうに目を細めながら私の顔を見つめた。