初恋のキミは最愛ヒーロー

「黒河内と想いが通じる可能性がある限り、俺は碧瀬を応援するよ」


「どうして…そんな風に言ってくれるの?」


玲音くんのこと、フッてしまった私に。


「好きな人には幸せになって欲しいから」


「えっ…」


「本当は俺が碧瀬を幸せにしたいけど、それは叶わないし…。だったら、アンタが幸せになれるように背中を押したいだけ」


「玲音くん……」


そんなの、優しすぎる…。


目頭がジワリと熱くなるのを感じていると、玲音くんは私の背中に優しく手をあてた。


「両想いになれるといいね、アイツと」


「……うん」


「もしも、また黒河内のことを諦めたくなったら、その時は今度こそ俺を選びなよ。まあ、そんなことは無いと思うけどさ」


冗談っぽく笑った玲音くんは“頑張れ”と私の耳元で優しく囁く。


そんな彼に、私は笑顔で“ありがとう”を伝えた。



< 367 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop