初恋のキミは最愛ヒーロー
「橘さん、おはよう!」
「おはよう、碧瀬さん。学校来るの結構早いんだね」
「うん、ちょっと早く目が覚めちゃって」
翌朝。
壱夜くんと通学路で鉢合わせするのを少し期待しながら、昨日と同じぐらいの時間に家を出た私。
だけど、結局…壱夜くんに会うことは無く。
道に迷わず、スムーズに学校まで辿り着けたため、かなり早い時間の登校になってしまった。
「橘さんは、いつもこのぐらいの時間に登校?」
「うん。早めに来て課題とか予習やってるの。家だと、弟や妹たちが煩くて集中出来ないから」
「そ、そうなんだ…」
すごいなぁ、朝から勉強だなんて…。
私なんか、壱夜くんのことしか考えてないや…。
会いたかったなぁ…。
残念な気持ちに包まれながら、バッグを机に置いてコートを脱いでいると……
「ほら、あの子じゃない?」
「そうだよ、絶対」
「間違いないって!」
こそこそと話す声。
そして、感じる視線。
教室を見回すと、出入り口のところから私の方を見ている女の子たち3人組と目が合った。