初恋のキミは最愛ヒーロー
さっきの女の子、少ししか姿を見れなかったけど、小柄で、ウエーブのかかった茶髪のロングヘアをフワフワとなびかせて、なんだか可愛らしい雰囲気だった。
隣町の女子高の制服着てたから、さっきの場所で待ち合わせしてたのかな?
これからデートとか?
……って、私ってば何を勝手に想像してるのよ。
壱夜くんかどうか分からないんだから、あまり気にしちゃダメだ。
だけど、本人だっていう確証も別人だっていう確証もないから、どうしても気になってしまう。
「……はぁ…」
小さくため息をこぼした私は頬を両手でペシペシと叩いた。
考えれば考えるほど気持ちが沈んでいくから、もう想像するのはやめよう。
“アイツの彼女になれる可能性はまだ残ってるんじゃない?”
玲音くんも、そう言ってくれたし…。
まだ見込みはあるよね…。
うん、前向きにいこう。
空を見上げて深呼吸をする。
燻るマイナス感情は心の奥へ押し込めた。