初恋のキミは最愛ヒーロー
複雑な心
「壱夜くん、そのガムテープ少しの間だけ使わせてもらってもいい?」
「いいよ。そうだ、莉彩のグループでハサミ余ってるのある?」
「うん、あるよ!」
「それなら借りていい?俺らのところにあったハサミ、誰かが勝手に持ってったみたいで無くてさ」
「そっか。はい、どうぞ」
「ありがと」
壱夜くんへの気持ちを諦めずに頑張ろうと決心してから数日が経った。
私は少しずつ壱夜くんとの会話量を増やしている。
文化祭の準備期間に入り、放課後は別々のグループで作業してるから、なかなか話が出来ないけれど…
今みたいな感じで、会話のキッカケを作って積極的に声を掛けたりしている。
そんな私に対して、壱夜くんは普通に言葉を返してくれるし、嫌がられてる雰囲気はない。
むしろ、表情が柔らかいような気がして、嬉しく感じている自分がいた。
この調子で、前みたいに放課後も一緒に帰れるようになるといいな…。
ちょっとハードルは高いけど…。