初恋のキミは最愛ヒーロー
「完全下校の時間が近づいてきたんで、区切りのいいところで作業を終わらせて、帰れる人から帰って下さい」
クラスの文化祭実行委員から声がかかり、各自が片付けを始める。
あっ、そうだ!
私、今日は日直だったんだ…。
日誌を職員室に提出しなくちゃ。
手早く片付けを終わらせて、机の上に置いてあった日誌を手に取った。
放課後になったら速やかに提出するようにって、4月の初めに担任が言ってたのに、かなり遅くなっちゃった…。
文化祭の準備作業に入る前に持っていけば良かったな。
苦笑いしながら教室を出た。
他のクラスの生徒たちも徐々に帰り始める中、足早に職員室へ。
日誌の提出を終えて昇降口にやって来た時だった。
「えっ、それ本当!?」
「うん!私服だったから直ぐに気づかなかったんだけど、あれは間違いなく黒河内くんだったよ~」
壱夜くんの話…!?
キョロキョロと辺りを見回すと、出入口のドアの近くで話をしている二人組の女子生徒の姿が映った。