初恋のキミは最愛ヒーロー
「黒河内くんの彼女かな?」
「仲良さそうに買い物してたから、そうなんじゃない?昨日も駅前の噴水の近くを一緒に歩いてるの見かけたし」
「へぇ~。まあ、黒河内くんって近寄りがたい雰囲気あるけどカッコいいもんね~!彼女がいてもおかしくないかぁ」
「だよね~。でも、最初にショッピングビルで目撃した時はビックリしちゃった」
声を弾ませながら、校舎の外へと出て行く女の子たち。
「あ、あのっ…」
気付いたら、私は二人を追いかけて呼び止めていた。
「突然ごめんなさい。今、壱夜くんの話をしてましたよね?駅前で見かけたって……」
驚いて固まってる女の子たちに、私は言葉を続ける。
「あの、一緒にいた女の子って隣町の女子高の制服着ていましたか?」
おそるおそる訊ねると、女の子は途端に目を輝かせながら頷いた。
「そうそう、胡桃沢女子高校の子!あなたも目撃したんだ~!数日前も昨日も、絶対にデートって感じだったよね、あの二人」
「………」
「ウェーブかかったサラサラのロングヘアといいパッチリした目といい、お人形さんみたいな美少女だったね~」
ズキンと重い痛みが体に走る。
あの人、壱夜くん本人だったんだ…。