初恋のキミは最愛ヒーロー
「今、保護者の方に迎えに来てもらうように連絡するわね」
「ま、待って下さい」
「えっ?」
「実は、今日は母が仕事の関係で隣県に行ってるんです。夕方まで会議があるって言ってたので、夜じゃないと帰って来れないと思います」
この前、会議が長引けば夜遅くになるかもしれないって言ってた。
今頃は会議真っ最中だろうから、連絡なんかして心配させたくない。
布団をキュッと握りしめていると、私たちの会話を黙って聞いていた壱夜くんが口を開いた。
「だったら、俺が家まで送ります。帰る方向が一緒なので」
「めっ、迷惑かかるからいいよ。私、一人で帰れるし…」
思わぬ言葉に驚いていると、壱夜くんの大きな手が私の額を覆う。
「まだ顔色悪いし、熱もある。そんな時に一人で帰るのは危ねぇだろ」
いきなり触れられた衝撃で、更に体温が上がってしまいそう。
たちまち頬が熱くなるのを感じた。
「そうね、先生もその方がいいと思うわ。それじゃあ、黒河内くん…お願いしてもいいかしら?」
「はい」
頷いた壱夜くんは、額を覆っていた手を私の頭にポンとのせた。