初恋のキミは最愛ヒーロー

保健室の中をウロウロすること約5分。


壱夜くんが私のバッグを戻って保健室に戻って来た。


「あれ、先生は?」


「私たちが早退することを担任の先生に話しに職員室に行ったよ。でも、壱夜くんが来たら帰っていいって言われてるから」


「じゃあ帰るか」


「うん」


自分のバッグを受け取ろうと手を伸ばすと、壱夜くんはバッグを肩に掛けたまま保健室を出た。


「壱夜くん、私のバッグ……」


「俺が家まで持ってく。その方が多少は歩くのが楽だろ」


私の負担を軽くするために…。


「ありがとう」


「別に大したことしてるわけじゃねぇから。それより、お前の顔色が悪いことに朝から気付いていたのに、倒れるまで何もしなくて悪かった。無理にでも保健室に連れていけば……」


「壱夜くんは悪くないよ。これぐらいなら大丈夫だって高を括ってた私がいけないんだから」


そう、私のせい。


無理せずに学校を休んでいれば、こんなことにはならなかった。


< 383 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop