初恋のキミは最愛ヒーロー
保健室の中をウロウロすること約5分。
壱夜くんが私のバッグを戻って保健室に戻って来た。
「あれ、先生は?」
「私たちが早退することを担任の先生に話しに職員室に行ったよ。でも、壱夜くんが来たら帰っていいって言われてるから」
「じゃあ帰るか」
「うん」
自分のバッグを受け取ろうと手を伸ばすと、壱夜くんはバッグを肩に掛けたまま保健室を出た。
「壱夜くん、私のバッグ……」
「俺が家まで持ってく。その方が多少は歩くのが楽だろ」
私の負担を軽くするために…。
「ありがとう」
「別に大したことしてるわけじゃねぇから。それより、お前の顔色が悪いことに朝から気付いていたのに、倒れるまで何もしなくて悪かった。無理にでも保健室に連れていけば……」
「壱夜くんは悪くないよ。これぐらいなら大丈夫だって高を括ってた私がいけないんだから」
そう、私のせい。
無理せずに学校を休んでいれば、こんなことにはならなかった。