初恋のキミは最愛ヒーロー
「単刀直入に聞くけど、碧瀬さんって…黒河内君と仲良くなったの?」
「えっ?」
「ウチらのクラスの女子が、昨日の帰りに商店街のところで、碧瀬さんと黒河内君が一緒にいるのを目撃したらしいんだよね」
「その子、碧瀬さんを始業式の時に見かけたらしいから、他の人と見間違えてる可能性は無いと思うの」
深刻そうな顔で淡々と口にする女の子たち。
重苦しい雰囲気に息が詰まりそうだ。
この状況…。
女の子たちの質問や醸し出す空気で、なんとなく分かってきた…。
この子たち、壱夜くんが好きなんだ…。
クールでカッコいい上に優しい壱夜くんのことだ。
ファンの女の子なんて数え切れないほどいるに決まっている。
きっと、私に仲良くし過ぎないように釘を刺しておこうと思ってるんだ。
「まだ仲良くなってません。昨日は家までの道を案内して貰っただけです」
威圧感に飲み込まれそうになりながらも、ありのままの事実を話す。
「本当に?」
疑いの眼差しを向けられ、コクコクと無言で頷いた。