初恋のキミは最愛ヒーロー
「よ、よろしくお願いします…」
涙で視界が滲む中、声を震わせながら言葉を返す。
片手で拭おうとしたところで壱夜くんに抱きしめられた。
「断られる覚悟はしてたけど、そうならなくて本当に良かった。嬉しい」
「私、壱夜くんに振られた後もずっと壱夜くんが好きだった。諦めなきゃって思っても無理だった」
私が初めて恋した人。
これ以上、好きになれる男の子はいないと思えるぐらい大好きな人。
だから、彼女になれるのは心から嬉しい。
夢オチとかじゃないよね…?
壱夜くんの腕の中でモゾモゾと手を動かして顔へともっていく。
涙で濡れた頬をつねるとハッキリと痛みを感じて、口元が緩んだ。
大丈夫、夢じゃない。
もう一度、つねろうとしていると壱夜くんが私の手を掴んだ。
「何やってんの?」
「あ、えっと…これが夢じゃないことを確認するために頬をつねってみました…」
「ふーん」
面白そうに笑う姿を見つめていると、壱夜くんの顔が近付いてくる。
そして、唇が重なった。