初恋のキミは最愛ヒーロー
「これでも、まだ夢かもしれない…って疑う?」
耳元で囁かれた私は首を左右に小さく振った。
ま、待って…。
まさかキスされるなんて思ってもみなかったから、驚きすぎて危うく心臓が機能停止するかと思った…。
私の唇に壱夜くんの唇が触れた…!
温かくて柔らかくて…。
キスって、こういう感じなんだ…。
「莉彩の顔、真っ赤」
「あっ、あたっ、当たり前だよ!だってキスするの初めてなんだもん」
ドキドキしちゃって上手く喋れない。
体が熱くて血液が煮えたぎってるんじゃないかと思うぐらいだ。
「そんなに可愛い反応されると、もう一回キスしたくなるんだけど」
「そ、それは無理…!私の脳と心がキャパオーバーになるから!」
シャットダウンして意識が飛んでしまう結末が容易に想像できる。
「分かった。今日はやめとく」
やけに“今日は”のところを誇張して言ったような気が…。
壱夜くんの照れたような笑顔を凝視する。
キスで完全に頭がいっぱいになってしまった私。
涙はいつの間にか止まっていた。