初恋のキミは最愛ヒーロー
「盛り上がってるな、キャンプファイヤー」
「うん。みんな楽しそう」
だんだん薄暗くなってきた景色。
さっきまで尋常じゃないドキドキに襲われていた私だけど、時間の経過と共に少しずつ落ち着きを取り戻してきた。
「莉彩、校庭に行きたい?」
「ううん、ここで壱夜くんと一緒に見ていたい。その方が嬉しいし楽しい」
屋上のフェンスの傍で二人で並んで後夜祭の様子を見つめる。
みんな凄くはしゃいでるでるなぁ…なんて思っていると、壱夜くんが私の手を握った。
「俺、前に莉彩から告白された時、内心は結構嬉しかったんだ」
「えっ…」
「正直言うと、初恋の女の子よりも莉彩に向かう“好き”の気持ちの方が大きかった。だけど、あの子の存在が心の中にある以上、中途半端な状態で莉彩の気持ちを受け入れることは出来なかったから断った」
「壱夜くん…」
「身勝手な理由で傷つけて本当にごめん。何度謝っても足りないと思うけど…」
「そんなに謝らなくていいよ!振られた時は辛かったけど、今日…両想いになることができて、今は幸せでいっぱいだから」
壱夜くんにニコリと微笑んだ。