初恋のキミは最愛ヒーロー
うーん、いない……。
6組の教室の出入り口で、不審者のごとく中を見回す私。
切れ長の目が印象的な整った顔立ち、艶のある黒髪、スラリと高い身長…に該当する生徒は見当たらない。
もう帰っちゃったのかな…。
残念な気持ちがある反面、少しホッとしている私がいた。
壱夜くんに聞いてみよう…なんて、勢いに任せて教室まで押しかけちゃったけど…
もしも、噂が本当だと本人の口から言われてしまったら、どういう反応したらいいのか分からない。
ショック強すぎて廃人と化す気が…。
いや、待てよ…?
壱夜くんの場合、それ以前に何も答えてくれないかもしれない。
プライベートな話に首突っ込むな…的に言われて、ウザがられそう。
うん、あり得る。
頭の中で勝手に想像を繰り広げていた時だった。
「ウチのクラスに何か用事?」