初恋のキミは最愛ヒーロー
突然、後ろから声を掛けられ、ビクリと肩を揺らす。
振り向くと、一人の男の子が不思議そうな顔で私を見ていた。
ダークブラウンの短髪で、二重のくっきりとした目の、人懐っこそうな可愛い感じの顔立ち。
身長は壱夜くんと同じくらいだろうか…。
この人も背が高いな…。
「どうしたの?誰かに用があるなら、俺が呼んでこようか?」
「あっ、いえ…大丈夫です。壱夜くん、もう帰っちゃったみたいなので…」
自分のクラスに引き返そうとすると、その男の子は私の肩をガシッと掴んだ。
「えっ、壱夜…?キミ、壱夜に用事があって来たの?」
大きな目をこれでもかというほど見開いて驚いてる…。
あれ?
そう言えば、この人…“壱夜”って名前で呼んだよね…?
今まで、そんな風に親しげに呼ぶ人に会ったことない。
も、もしかして……
「あの、壱夜くんと仲良いんですか?」
その質問に、男の子からは爽やかな笑顔が返ってきた。