初恋のキミは最愛ヒーロー
「アイツとは友達だから」
壱夜くんの友達……。
ということは、噂の真相を知ってるはずだよね。
本当なのか、嘘なのか…。
ドクン…と鼓動が波打った。
「俺、神楽 桃舞(かぐら とうま)。キミは?」
「碧瀬 莉彩です」
「よろしくね!ところで、莉彩ちゃん…少し時間ある?」
「あっ、はい…」
「それじゃあ、ちょっと二人で話そっか」
神楽くんは“俺についてきて”と言って、歩き出す。
どこに行くんだろう…?
疑問符を浮かべながら後を追いかけていくと、屋上に辿り着いた。
「わぁ、綺麗…」
目に飛び込んできたのは、夕日に包まれた街並み。
フェンスの傍に駆け寄った私は、キラキラ輝く景色に思わず感嘆の声を零した。
「ここ、壱夜のお気に入りの場所なんだ。昼休みとか放課後とか、アイツ…よくここに来てるよ」
「そ、そうなんだ…」
壱夜くんにとって、寛げる場所なのかな…。