初恋のキミは最愛ヒーロー
「あのさ、莉彩ちゃんって壱夜と親しいの?」
「ううん、親しいってわけじゃないの。仲良くしたいとは思ってるんだけど…」
「えっ、アイツと仲良く…?」
驚いている神楽くんにコクンと頷く。
「私、この学校に転入してきたばかりなんだけど、壱夜くんに何度もピンチを救ってもらったんだ…。その優しさが凄く嬉しかったの。もっと壱夜くんのこと知りたいし、お喋りもしたい。友達に、なれたらいいな…って思ってるんだ…」
本当は、壱夜くんと友達以上に…。
照れくさいから、この気持ちは神楽くんには秘密だけど。
「そっか。莉彩ちゃんは、アイツが優しい男だってことを知ってくれてるんだね」
神楽くんは嬉しそうに目を細める。
「壱夜って、見た目…少し怖い顔してんじゃん?無愛想なとこもあるし。だから、本当の性格を見抜いてくれる人って、なかなか居ないんだよ」
フェンスに背を凭れた彼は、空を見上げた。
「あんな噂も広まってるから、余計にね…」