初恋のキミは最愛ヒーロー
噂…。
「それって、壱夜くんが不良だとか、売られた喧嘩は必ず買うとか、万引きや喝上げをしてるとかっていう……」
「莉彩ちゃん、既にアイツの噂を聞いてるの?」
「うん、色んな人から…。壱夜くんとは関わらない方がいいって言う女の子もいたの。でも、どうしても内容が腑に落ちなくて」
信じられないし、信じたくない。
そう、思った。
「そうだったんだね。どこから湧いてきた噂か分かんないんだけどさ、デタラメばかりだよ…あんなの」
良かった…。
みんなの間で囁かれてる噂は嘘だったんだ…。
瞬く間に、安堵の気持ちが心に広がっていく。
「ったく、作り話なのに簡単に信用するヤツが多すぎなんだよね。アイツのこと、ちゃんとよく見ろ…って言いたくなる」
「そうだね…」
眉をしかめる神楽くんに共感して頷いた。
みんなが壱夜くんの優しいところを知れば、あんな噂…すぐに消えるよね、きっと…。