初恋のキミは最愛ヒーロー
そう意気込んで、早めに登校してきたけれど…
「うーん、来てないな…」
まだ壱夜くんは教室にいなくて。
その後も時間を置いて、ホームルームが始まる少し前まで何度も6組に足を運んでみたものの、会うことは出来なかった。
そして、お昼休み。
お弁当を急いで食べて、6組へ。
壱夜くんも神楽くんも居ないから、きっと屋上に行ってるんだ…。
そう思って、向かおうとしたけれど…
「えっと、屋上って…どこから行くんだっけ?」
昨日、考え事をしながら神楽くんの後を追いかけていたため、しっかりと記憶していなかった私。
ただでさえ、広くて迷いやすい校舎。
このままだと、次の授業に遅れそう。
そんな予感がした私は、ガクリと肩を落としながら教室へと戻って来た。
「碧瀬さん、大丈夫?どんよりしてるけど…」
「う、うん…大丈夫」
心配そうな表情を浮かべる橘さんにニコリと笑う。
いけない、いけない…。
朝もお昼休みも壱夜くんに会えなかっただけで、落ち込んでちゃダメだ。
まだ、放課後だってチャンスはあるんだから。