初恋のキミは最愛ヒーロー
午後の授業が全て終わった後、私は帰り支度を済ませて教室を出た。
行き先は、図書室。
家よりも学校で勉強する方が集中出来て、捗りそうな気がしたからだ。
足早にやって来たのは、東棟の2階の突き当たり。
移動教室でこの棟に来た時、図書室があるのを見かけていたから難なく辿り着くことが出来た。
扉を開けると、たくさんの蔵書と窓際に置かれた大きな机たちが目に入る。
だけど、中には誰もいない。
図書カウンターも無ければ、図書委員もいないなんて…。
少し不思議に思いながらも、適当な席に着いた私。
バッグから教科書とノート、ペンケースを取り出して机に広げた。
午後の授業の途中から降り出した雨の音しか聞こえない、部屋の中。
気合いを入れて取り掛かり始めたものの、もともと得意ではない数学。
すんなり頭に入ってくるはずもなく、10分も経たないうちにグッタリしてしまった。
ちょっと休憩…。
机に突っ伏していた、その時。
ガラリと音を立てて図書室の扉が開いた。