初恋のキミは最愛ヒーロー

午後の授業が全て終わった後、私は帰り支度を済ませて教室を出た。


行き先は、図書室。


家よりも学校で勉強する方が集中出来て、捗りそうな気がしたからだ。


足早にやって来たのは、東棟の2階の突き当たり。


移動教室でこの棟に来た時、図書室があるのを見かけていたから難なく辿り着くことが出来た。


扉を開けると、たくさんの蔵書と窓際に置かれた大きな机たちが目に入る。


だけど、中には誰もいない。


図書カウンターも無ければ、図書委員もいないなんて…。


少し不思議に思いながらも、適当な席に着いた私。


バッグから教科書とノート、ペンケースを取り出して机に広げた。


午後の授業の途中から降り出した雨の音しか聞こえない、部屋の中。


気合いを入れて取り掛かり始めたものの、もともと得意ではない数学。


すんなり頭に入ってくるはずもなく、10分も経たないうちにグッタリしてしまった。


ちょっと休憩…。


机に突っ伏していた、その時。


ガラリと音を立てて図書室の扉が開いた。


< 55 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop