初恋のキミは最愛ヒーロー
いっ、今の言葉…。
「何だよ、その狐につままれたような顔」
「だって、そんな風に言って貰えるとは思ってなかったから…」
衝撃が半端なかった。
「昨日の帰り道で、桃舞に物凄い剣幕で怒られた。いくら何でも酷すぎだ…って」
神楽くんが物凄く怒ってる姿って、想像つかない。
爽やかで穏やかな雰囲気の人だったし。
「正直、俺の過去を勝手に詮索されんのは、いい気分じゃなかった。あまり触れられたくないこともあるし」
「ご、ごめんなさい…」
壱夜くんのことを気にするあまり、無神経に踏み込み過ぎてた…。
「でも、碧瀬がどんな気持ちで俺のことを探ってたのか知りもせずに、キツい態度とったのは…良くなかったと思ってる。だから、とりあえず…“ウザい”とか“一切…俺に関わるな”とか、その辺りの発言は撤回しとく」
気まずそうに視線を逸らされてしまったけれど、私はジワリと心の中が温かくなるのを感じた。