初恋のキミは最愛ヒーロー

いっ、今の言葉…。


「何だよ、その狐につままれたような顔」


「だって、そんな風に言って貰えるとは思ってなかったから…」


衝撃が半端なかった。


「昨日の帰り道で、桃舞に物凄い剣幕で怒られた。いくら何でも酷すぎだ…って」


神楽くんが物凄く怒ってる姿って、想像つかない。


爽やかで穏やかな雰囲気の人だったし。


「正直、俺の過去を勝手に詮索されんのは、いい気分じゃなかった。あまり触れられたくないこともあるし」


「ご、ごめんなさい…」


壱夜くんのことを気にするあまり、無神経に踏み込み過ぎてた…。


「でも、碧瀬がどんな気持ちで俺のことを探ってたのか知りもせずに、キツい態度とったのは…良くなかったと思ってる。だから、とりあえず…“ウザい”とか“一切…俺に関わるな”とか、その辺りの発言は撤回しとく」


気まずそうに視線を逸らされてしまったけれど、私はジワリと心の中が温かくなるのを感じた。


< 57 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop