初恋のキミは最愛ヒーロー
「……確かに、壱夜くんとは出会って一週間しか経ってないから、何もかも知ってるわけじゃない。だけどね…」
「何だよ」
冷たく見下ろす視線。
怯みそうになりながらも、私は目を逸らさずに見つめた。
「壱夜くんは、心の優しい男の子だっていうことは、胸張って断言できる事実だよ!」
しばしの沈黙。
壱夜くんから溜め息が漏れた。
「アホらし。それ言うなら“冷たい男”の間違いだろ?」
「違うよ!最初に不良たちから助けてくれたのも、転校初日の朝に学校まで道案内してくれたのも、その日の帰り道も心配して一緒に帰ってくれたのも、今日…勉強を教えてくれたのも、全部…壱夜くんの優しさだよ」
「………」
「冷たい人だったら、厄介ごとに巻き込まれたくないから、一切…取り合わずに無視するはずでしょ。でも、壱夜くんは放っておかなかった」
「都合のいいように解釈すんな」
漂う不機嫌オーラ。
それでも、私は言葉を続ける。