初恋のキミは最愛ヒーロー
ドキドキに包まれながら歩くうちに、あっという間に自宅近くの小さな公園前まで来ていた。
「俺…こっちの道だから、じゃあな」
傘を渡そうとする壱夜くん。
私は首を横に振った。
「あの、傘は壱夜くんが使って?私は家まで走れば数分で着いちゃう距離だし」
「俺だって、そんなに時間は掛かんねぇよ」
「でも、この降り方だと壱夜くんがズブ濡れになっちゃうよ。風邪ひいたりしたら大変でしょ?」
「それは碧瀬も同じだろ?」
無表情で返ってきた言葉に、私は笑顔で自分の胸をポンと叩く。
「私は大丈夫!小さい頃から、あまり風邪ひいたことないから」
「ふーん」
ん?
なんだか、信じてなさそう…。
「ほ、本当だよ?比較的、体は丈夫な方で………あっ!」
「…なんだよ」
怪訝そうな顔をする壱夜くんの左頬をジッと見つめた。