初恋のキミは最愛ヒーロー
Act.3
遭遇したのは、癒しの王子様
私が、この学校に転校してきて一ヶ月が経過した。
壱夜くんとの距離は、日に日に縮まっている…と言えたら嬉しいけれど…
実際のところ、殆ど平行線状態だ。
少しずつ仲良くなっていけたら…なんて理想を思い描いていたけど、現実はなかなか上手くいかない。
先は…まだ長そうだけど、挫けてなんかいられない。
前だけを向いて頑張るんだ…。
「…………碧瀬さん?」
我に返ると、私の席の傍にクラスの女の子が数人やって来ていた。
そっか、今…休み時間だったんだっけ…。
「具合悪いの?大丈夫…?」
「元気だよ、大丈夫!」
慌てて笑顔で答えた。
先月、壱夜くんが茶髪のボブヘアーの女の子に、私の有らぬ噂を広めるないようにキツく忠告してくれた後…。
周りの人たちが、私を避けたり、無視したりすることは一切ない。
もちろん、自分に関して事実に反するような噂話を耳にしたこともない。
毎日が、とても穏やかだ。