初恋のキミは最愛ヒーロー
「あっ、もう授業の時間か…」
「王子、チョコ受け取ってくれるといいなぁ…」
「私…同じ中学だったけど、その頃は笑顔で受け取ってくれてたよ!“わざわざ作ってくれて、ありがとう”っていう言葉と一緒に」
「えーっ、王子ってば優しすぎ~」
「ますます好きになっちゃうんですけど!」
女の子たちがキャーキャーとはしゃぎながら、各自の席に戻っていく光景を呆然と見つめる。
すごい盛り上がりようだったなぁ…と思っていた時。
「莉彩ちゃん、大丈夫?口がポカンと開いてるけど…」
廊下で他のクラスの友達とお喋りしていた紫葵ちゃんが隣の席に戻ってきた。
少し前から、お互いのことを名前で呼ぶようになった私たち。
それだけ、打ち解けた仲になってきていた。
「大丈夫…。女の子たちとバレンタインの話をしていて、ビックリしたというか、衝撃を受けたというか…」
「ああ、もしかして王子の話?みんな、口を揃えて王子にチョコあげるって言ってたんじゃない?」
「うん、正解」
紫葵ちゃん、すごい。
バレンタインって言っただけで、内容が分かるなんて…。