初恋のキミは最愛ヒーロー

「王子の良さ、力説してたでしょ?」


「うん」


「欠点がない完璧男子って言われてるからね。熱烈なファンが校内だけじゃなく、他校にまでいるのよ。だけど、私的には…どんな女子にも愛想よく振りまいてるところが、なんかチャラチャラしてる感じで、あんまり好感もてないけどね」


クールにバッサリと言ってのける紫葵ちゃん。


紅月くんに対する印象は、あまり良くないんだ…。


まあ、紫葵ちゃんの場合は本命の夜本くんがいるから、他の男の子には興味ないんだろうな。


私も、正直言って紅月くんの話題は…どうでもいいや。


壱夜くん以外の男の子に興味ないし。


頭の中に彼を思い浮かべて、笑みを零した。


そうだ、今日のお昼休みは屋上に行こう。


“毎日、昼休みに屋上に来られるのは鬱陶しい”と、この前…壱夜くんに言われたから、昨日も一昨日も我慢した。


今日は、数日ぶりだから問題ないでしょ。


壱夜くんとお昼ご飯、楽しみだな…。


私の一方的な話に対して、大抵は無言スルーされるか素っ気ない言葉を短く返してくるかのどちらかだけど。


それでも私は、嬉しいから。


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