初恋のキミは最愛ヒーロー
そして、迎えたお昼休み。
ウキウキしながら、ランチバッグを持って席を立つ。
いざ屋上へ…と意気込んでいた時、担任の小林先生が急いだ様子で教室に入って来た。
「今日の日直は……碧瀬だな。碧瀬いるか?」
「は、はい…」
名前を呼ばれ、おそるおそる手を挙げる。
私、何かしたんだろうか…。
心当たりがなくて疑問符を浮かべていると、先生は私のところに駆け寄ってきた。
「碧瀬、すまないが…教卓の上の古典の課題ノートたちを、国語準備室まで持っていってくれないか?戸村先生、持っていくの忘れたらしいんだ」
あ、本当だ…。
教卓の上には、さっきの古典の授業で提出したクラス全員の課題ノートが置かれたままだった。
そう言えば、戸村先生…用事があったのか、授業が終わるなり慌てて出て行ったもんなぁ…。
「分かりました」
こうなったら、さっさと済ませちゃおう。
ランチバッグを腕にかけて、課題ノートを両手でシッカリと持った私は、足早に教室を出た。