初恋のキミは最愛ヒーロー

国語準備室は、確か…北棟の1階だっけ。


生徒たちが行き交う廊下を、ノートを抱えて慎重にすり抜けていく。


この広すぎる校舎にも、だいぶ慣れてきたなぁ…。


迷うことも、殆どなくなってきたし。


順調に、北棟へと向かっていた…その時。


“ドンッ”


廊下を右に曲がろうとしたところで、体に衝撃が走る。


抱えていたノートが散乱し、私はバランスを崩して尻もちをつく……と思ったけれど、腕を掴まれてグイッと引き寄せられた。




「ごめん、完全に俺の不注意だった…」


フワリと鼻を掠める、甘くて爽やかな香り。


ゆっくりと顔を上げると、心配そうな顔をしている男の子と目が合った。


「大丈夫?」


二重のくっきりとした目、スッと通った鼻に形のいい唇。


フワフワと緩くウェーブがかかったハニーアッシュの髪。


背もスラリと高い。


ん…?


この人、もしかして……。


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