初恋のキミは最愛ヒーロー
「7組の紅月くん…ですか?」
「うん、そうだけど…」
そんな風に質問されることが殆ど無いのか、紅月くんは少し驚いた表情を浮かべた。
やっぱり、この人が王子か…。
まさか、こんなタイミングで会うことになるなんて思ってもみなかったな…。
「キミ、転校生の碧瀬さん…だよね?」
いきなり名前を呼ばれた私は目を見開いた。
「ど、どうして私のこと…知ってるの?」
「始業式の日に、俺のクラスの男が2組に偵察に行ったらしくてさ。“転校生の碧瀬さんが可愛い”って話してたのを聞いたんだ」
「えっ…」
可愛いって、私が…!?
誰かと見間違えたんじゃないだろうか…。
「でも、私たち初対面だよね?それなのに……」
「ああ、実は…碧瀬さんのこと昼休みや放課後に何度か見かけたことがあるんだ」
なるほど……。
だから、私を見て名前も分かったんだ…。