初恋のキミは最愛ヒーロー
「屋上は黒河内が占拠してるから、基本的に他の生徒は近付かない場所なんだ」
そっか…。
屋上を利用してる人は限定されてるから、あんな風に聞いたのか…。
「黒河内とは関わらない方がいいよ。危ないことに手を染めてるらしいから。アイツの良い噂は聞いたことがない」
紅月くんも、噂話を信じてるんだ…。
キュッと唇を噛み締める。
「碧瀬さんがトラブルに巻き込まれないためにも、黒河内の傍には……」
「だっ、大丈夫だよ!壱夜くんは噂されてるような人じゃないから」
思わず、心で叫んだ言葉が声になって空気を震わせる。
紅月くんは驚いた様子で瞬きを繰り返した。
「見た目…怖そうな雰囲気だし、ちょっと言葉にトゲがあったりもするけど、心は…とても優しい男の子だよ。困ってる時、何度も助けてもらったんだ…私」
真っ直ぐ目を見ながら伝える。
噂はデラタメなものだと、紅月くんは分かってくれるような気がして…。