初恋のキミは最愛ヒーロー
「壱夜、少女漫画なんて読むのか?」
「は?」
「だって、今…画面に表示されてる本、どう見ても女子向けの漫画じゃん」
神楽くんは、少し戸惑いの色を滲ませる。
もちろん、私もだ。
「壱夜くん、てっきり小難しいゲームでもやってるのかと思ってた。まさか、少女漫画を読もうとしてたなんて…」
「少女漫画なんか興味ねぇよ!ったく、面白そうな文庫本を見つけたから買ってダウンロードしたつもりだったのに。お前らが騒がしくてイライラしてたから間違えた」
舌打ちをしながらスマホと睨めっこする姿を見た神楽くんは、何かを悟ったかのようにニヤリと笑みを浮かべた。
「壱夜、もしかして……妬いた?」
「…………」
ギロリと神楽くんに鋭い視線を向ける壱夜くん。
“何言ってんだコイツ”とでも言わんばかりの殺気が漂っている。
「だって、俺ら…騒がしいってほど大声で喋ってたわけじゃないし。いつもなら、このぐらいの会話にそこまで苛立ったりしないじゃん」
た、確かに…。