【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
神様のお告げ


会社の洗面所の鏡に映る自分を、田中 芽衣(たなか めい)はじっと見つめた。

小さめフリル袖のシフォンブラウスを着てゆるめにカールされたボブベースの髪。毛先が揺れると、耳元に揺れる小さなピアスがちらりと見えていた。

顔は急に綺麗にはならないけど、服装はなんとかそれなりに決まっているはずだ。

リップを引き直し芽衣は
「よしっ」
と鏡の中の少しかしこまった表情の自分に喝を入れた。



今朝も親友の伊野 真知子(いの まちこ)からは、ラインで小姑のように口うるさくクギを刺されていた。

『芽衣、いい? 今夜は絶対に大人しくしてなさいよ』

『わかってる』

『黙ってれば、そこそこなんだから』

黙っていても、そこそこ止まりという真知子の毒舌な評価に『からいなぁ』と呟き苦笑いしてしまう。

『あんたは、思ったことをすぐに表に出しちゃうから。顔も口も大人しくね』


顔も口も大人しくって、どういうことよ。


真知子から言わせると芽衣は思ったことがすぐ顔にでるタイプらしかった。

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