【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
教えてくれた女性店員に会釈をして、沸き立つ怒りを鎮めるように努力をした。
梨田さんは、何も悪くない。ずっと待っていてくれたのだ。
怒っているだろうか? 梨田さんは、理由がわからずに私を時間にルーズな嫌な女だと。誤解しているはず。それもこれもあの男のせいだ。
改めて色んな意味でドキドキしながら、芽衣は梨田に会うために一番奥のテーブルまで歩いて行った。
「すいません!梨田さん。あの大変お待たせしてしまいました」
理由はどうあれ、今は謝るしかない。
テーブルまでくると、がっつり頭を下げた芽衣。頭を下げたままで芽衣は梨田へ自己紹介を始めた。
「私、伊野さん御夫婦から紹介された田中…芽衣です。初めまして。あっ本当に遅れて申し訳ありません」