【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「いや、だから…俺が梨田大和です」
悪びれる様子もないモテ男に、余計に腹を立てる芽衣。
「なんで早く言わないのよっ」
「まあまあ、落ち着いて。とりあえず座って話そう」
「なんで私に嘘ついたの?からかって面白かった?」
椅子には座ろうとしない芽衣を笑って見上げる梨田。
「うーん。なんでかな。扉を開けて、あんたの顔をみたら…なんていうか」
考えこむみたいに梨田は腕組みをし言葉を切って芽衣を見た。
「急に名乗りたくなくなった」
「は?なに言ってんの、あなた」
病気だ。おかしい。
完璧にいっちゃってる感じだ。
モテ男故の女を多少困らせて振り回しても許されると思い込んでしまう特殊な病気だ。
長期入院すべき病気なのに。
「だから、イヤなのよ。あなたみたいな男」
思わず芽衣の口から本音が漏れて出していた。
「え?」
「そもそも私が間違ってたわ。親友の紹介で恋人か、もしくは親友を見つけようだなんて虫が良すぎたのよね」