【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
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芽衣がレストランの入り口へ向かうと、レストランのガラス扉が向こうから勝手に開き始めた。
自動ドアかと思ったのだが、どうやらそれは思い違いでガラス張りの店内から店員が客が来るのを見ていたようだ。
ガラス扉を大きく開け放ち
「いらっしゃいませ」と芽衣を笑顔で迎えた男の店員。
自信に溢れた笑顔。
眩しいくらいの白い歯。
彫りの深い異国情緒たっぷりのハーフ系な顔。
ワイシャツにブラックパンツ。腰にぐるりと巻いた真っ白なエプロン。
わぁ、何? この店員、モテる男感丸出し。
眉間にシワを刻みそうになる自分を芽衣は、なんとか抑えていた。
芽衣は、こういう自信に満ち溢れたモテる感丸出し男が一番苦手なのだ。いや、宇宙一嫌いだと言ってもいい。
無愛想な緑色のエイリアンの方がましかもしれない。
こういう恵まれた容姿に産まれたら、恐らく周りからチヤホヤされて生活してきたはずだ。
それ故、苦労知らずに違いない。
女に振られたことなんかもないから人の傷みを知らないで、自由すぎてワガママに育ってしまったはずだ。
男の風上にも置けないような情けない男のはずだ。男気もなくて、下手したら女に奢られても何にも思わずサンキューって発音良くいいそうな雰囲気だ。
芽衣は男を観察し、男に対する偏見に満ちた妄想をたくましくしていく。その後、これまた勝手にうんざりして、短く息を吐いた。
梨田さんが、こういう感じの悪い人丸出しで無いことを祈ろっと。
恋人候補に多くを望まない芽衣が譲れない点がまさにこれだ。『俺はモテる感丸出しの自信たっぷり男』こんな男だけは、避けたい。不幸になるのが目に見えているようなものだからだ。
「あの、梨田で予約しているものです」
気持ちを切り替え、少しぎこちなく笑みを浮かべ芽衣は男に予約してある旨を告げた。