【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「お客様」
窓際のゆったりとした2人がけの予約席に座ってからすぐに、あのハーフ系モテ男がやってきた。
「……はい」
改めて顔を見上げてみると、モテ男はあきれるほど綺麗な顔をしていた。
「梨田様から御伝言を仰せつかっております」
「はあ、伝言ですか?」
「はい、少し遅れるので先に料理を食べ始めてくださいとのことです。宜しければ食前酒からお持ちしますが」
芽衣は自分の提案が最善だと言いたげなモテ男の余裕たっぷりな笑顔を眺めた。
最善の方法かどうかを見極めるのは、この私だ。モテ男のやりたいようにはさせない。
「あのぅ、どのくらい遅れるとか…何か言ってましたか?」
「いえ、特にそこまでは」
なあんだ。
この男、肝心なことは何も聞いてくれてないんじゃない。気の効く人を装うつもりなら、それなりに本気で気を効かせてくれればいいのに。
「そうですか…はぁ…勝手に始めるのは嫌なのでもう少し待ちます」
「そうですか、かしこまりました」
モテ男店員は、ニッコリ微笑んでテーブルから離れて行った。