【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!

「じゃ、何が食べたい?」
話を聞いていないのだろうか?
懲りない男は大嫌い。

「……食べたくない」

「じゃ、何かしたいことある?」
芽衣の顔を覗き込む梨田。

「ないわ」

「じゃあ、俺のしたいこと…2人でしよっか?」

梨田の瞳の奥は、光を放っていた。


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広く青く広がる海の底にみえる何らかの光。
それは瓶の破片かもしれない。
または何かのコインかもしれない。

海に飛び込み、思い切り手を伸ばしてみる。

深く潜らなければ到底、光には手が届きそうにもない。

もう諦めようか。

それでもどうしようもなく気になって仕方がない。私の心を掴んで離さない光の物体。

深く深く潜って、出来るだけ手を伸ばす。

もしかしたら海賊船からこぼれ落ちた財宝かもしれない。

できる限り遠くへ指先を伸ばしてみる。息が続く限り深く遠く。
過去の記憶が邪魔をしないほどに遠くへ。


その先に確かに存在する光る物体。

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「あなたのしたいことなんか…私は、する気もないわ」
芽衣は、梨田を見返す。


欲しくても手の届がないものには、たとえ興味があったとしても手は伸ばさない。

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どうせ、息が苦しくなるほど頑張っても届かないなら頑張ってもがいてみても意味がない。

初めから得体の知れない綺麗な光るものには手を伸ばさない方がいい。

それが鋭利な刃物や割れて先の尖った瓶かもしれないのだから。

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「なんで? 俺が相手じゃ嫌?」

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