【【贅沢な片思い】】ヤツの所には行かせない!
「素敵なレストランになりそうね。コンセプトがしっかりしてるから」
ついに自然な笑顔を梨田に見せてしまった芽衣。すぐに後悔して口を閉じた。
そんな芽衣の顔に魅入る梨田。梨田は、不意に芽衣の頰に手を伸ばす。
「芽衣〜」
名前を呼ばれただけなのに。
それだけで心が揺れてしまう。
綺麗なものを手に入れるには常にリスクがつきまとう。
予感がしていた。
大嫌いだといいながらも、心は揺れていた。
「もっと顔〜良く見せて」
近づいてくる梨田の整った顔。
「……」
何も聞こえないし、何も言えない。
これから起こりそうなことに不安がつのる。
だんだん大きくなる心臓の音だけが耳の奥に響いていた。
梨田の妖艶な瞳に魅入られ、それだけで肩の力が抜けていきそうだった。
そっと、肩に置かれた梨田の左手。
静かに距離を縮める梨田を見つめた。
こんな男には負けない。
モテ男なんかに軽く騙されたりしない。
海の底に光る物体には、心を奪われたりしない。指が触れそうになって躊躇する芽衣。
2人は、しばらく無言のままお互いを見ていた。
梨田の手が芽衣の肩を少し撫でるように動き、、芽衣へくしゃりと微笑みかける。
なぜ、優しく笑いかけるの?
そんな手には乗らない。
絶対に……。
そう思っていた。
それなのに、顔を傾けて近づいてきた梨田の顔を芽衣はじっと見ていただけだ。
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揺れる海の底に光るものを見つけた。
それは割れた瓶でも海賊船が落とした財宝でもない。
これは……。
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